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Route★ZERO

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4 コメント

【日野 WD300】 ハイキャブ搭載の全輪駆動車(4×4)

今年の成人式は14日(月)でしたが、この日の東京都内は朝方の雨が雪へと変わり、あっという間に町が雪化粧してしまいました。

祝日も出勤日としている我が社の職場では、帰宅命令が・・・
15:00頃は電車もバスもストップ、タクシー乗り場は長蛇の列が出来上がっており、帰宅するまでかなりの時間を要し、後から考えると有休を頂いて自宅に居た方がよっぽど良かったと思います。

さて、雪の日に活躍するトラックといえば”除雪車”
関東平野においては高速道路でNEXCOの除雪車を見かける程度であり、あまり馴染みがない車両ではありますが、降雪量の多い地域ではこの時期除雪車がフル稼働していることでしょう。

Hino_WD300_1.jpg
こちらは北海道で見かけた日野WD300型の除雪車(手前)と三菱ふそうのFW(6×6)またはFR(4×4)です。

日野WD300型は大型トラクタ(HE型、HH型)に採用されていた”ハイキャブ”と呼ばれるキャブ搭載位置を高くしたキャビンを搭載。インテリアでは”悠々キャビン”と呼ばれる運転席に沿ってラウンドしたインストルメント・パネを採用しています。

エンジンはEK100型(270ps)を搭載。オーバートップ付き5速マニュアルミッションと高低2弾の副変速器を採用しているとのこと。

フレーム先端に大型スノープラウを取り付けているのでフロントバンパーは除去、ノーマルのヘッドライト位置では十分に前方を照らすことが出来ないので、上方にヘッドライトを移設されています。そのせいか大型トラックのイメージは薄まり、大型重機のように見えます。キャビンへの乗り込みも前輪後方のステップからよじ登るといった感じで大変そうです・・・

助手席側の三角窓から判断すると、このモデルは1977年~1979年頃の車両と推測。

Hino_WD300_3.jpg
同じく北海道から日野K-WD300型(手前)と日産ディーゼルK-CZ型。

上画像の日野WD300型に対して54年排ガス・騒音規制に適合させたことで、型式名がK-WD300型となりました。同時に下方視界改善のために助手席側には安全窓が取り付けられております。(残念ながら同じキャビンを採用していたHE/HHのトラクタ・シリーズは下方視界改善を理由にハイキャブを廃止している)

フラットな荷台には”バラスト”と呼ばれるウエイトを積んでおり、雪道でのトラクションが得やすいようにしています。また別の仕様としてはダンプ架装車や凍結防止剤散布機を積んだモデルもあったりします。

このモデルは1979年~1983年頃の車両と推測。



【Hino WD300/K-WD300(4×4)】
製造期間 1977-1983年

1975から販売されていたボンネット型全輪駆動車(4×4)のZH110型に代わり、
1977年8月にキャブオーバー化されたWD300型が発売される。

1979年に54年排ガス・騒音規制に適合させるとともに、
下方視界などの安全性を高めたK-WD300型を発売。

1982年頃(時期不明)にSuper Dolphin K-FU型(6×6)が登場。
1984年1月にP規制車のSuper Dolphin P-FU型(6×6)とP-FZ型(4×4)が登場。

K-WD300型はP-FZ型に切り替えられたことで製造中止。

絶滅度 ★★★☆☆
レア度 ★★★★☆
満足度 ★★☆☆☆
状態  現役車(2枚とも)
撮影地 北海道(2枚とも)
撮影日 2010年4月(2枚とも)
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コメント

元はとばす 2013/01/22 21:00  編集 URL

HE/HHのハイキャブ廃止の理由は下方視界の改善だったのですか。
ハイキャブの本来の目的はダブルストレーラ牽引の為全長を短くするためとか。
ならば前軸がセットバックされたハイキャブ後期の存在意義は?
K-ではすんなり通常キャブに戻されてますからエンジンが大きいとの理由も無さそうですし。

さてハイキャブHHに酷似した6×6のWGもご存じでしたら取り上げて下さい。
Route★ZERO 2013/01/22 23:56  編集 URL

元はとばす様

日野HE/HH系トラクタの歴史を振り返ると、

1969年9月に大型トラックのモデルチェンジが行われ、HH700型トラクタ(6×4)が登場します。DK10型ターボ付エンジン(260ps)を搭載し、キャブ形状と高さはノーマルと同じ。その後HE301型(4×2)や海上コンテナ輸送用のHH700系が登場。この時もノーマルキャブを採用。

同じ時期に、高速道路を利用して大量・高速輸送の効率化を求める運送業界の要望により、セミトレーラ-にもう一台セミトレーラーを連結する“ダブルストレーラー”が
各社から開発されることになり、大手運送会社、大型メーカー4社、運輸省、建設省、警察庁で構成される「連結車両試作運行委員会」により運行試験が開始されたのでした。しかし、ダブルストレーラーの運行は後退時の操作困難など
の問題もあり、結局試験運行のみで終わっています。

1971年7月に日野は赤いエンジンとハイキャブスタイルを持つHE350/HE355型を登場させた訳ですが、これはダブルストレーラーの開発でトラクタ全長を出来るだけ短くするためハイキャブ形状とし、車両前端からカプラまでを極限まで短く、ホイールベースは可能な限り長くしたものです。

1976年10月に、キャブの内外装を改良するとともに“赤いエンジン” の改良型を搭載。この時のマイナーチェンジで、ハイキャブの搭載位置を前側(フロントオーバーハングの拡大)に移しています。キャブ位置変更の理由はトラクタ全長を無理して短くしたことで旧モデルは重量バランスが悪かったので、バランスのいい位置に再配置したと聞いています。

1979年10月に昭和54年度排ガス規制適合車のK-HHシリーズ
と翌年1月にK-HEシリーズが発売。このモデルチェンジでHE/HH系は、特徴的なハイキャブから大型トラックと共通デザインのローキャブへと変更されています。ローキャブ化は下方視界を向上させると共に最小回転半径の縮小にも成功したのです。

当時はトラックが左折した時の巻き込み事故が社会問題になっており、1978年10月に「大型貨物自動車の左折事故防止のための緊急措置について」という法規制が制定され、サイドアンダーミラーと補助方向指示器の新設、サイドガードの改善などが織り込まれています。

こうした時代背景があったせいで、人気のあったハイキャブスタイルは終止符を打つことになったのです。


6×6のWG300型は、1974年2月に重量物運搬用セミトラクタとして発売されています。キャブはベッドスペース付きのハイキャブを採用。第5輪荷重16t、11.5tの2タイプを用意。
ハイキャブの搭載位置を前側にオフセットさせる手法をとったのは、実はWG300型が初めてなんですよね。

長文失礼しました。 
元はとばす 2013/01/23 17:29  編集 URL

詳細なご教示ありがとうございます。

6×6のWGについて、HHハイキャブ後期に酷似していますが、実はキャブ搭載位置がHE/HHより更に高く、フェンダーは独自のものです。
殆ど見た記憶が無いのは、単にHHと見間違えていたからかもしれません。
前任のZCも重トラクタとしても多用されましたから、その後継の意味でしょう。
しかしその後消滅したことを考えると重トラクタに6×6は不要で、むしろハンドルの切れ角の大きい6×4で十分ということのようですね。
WDの様にWGも除雪車になったりしたんでしょうか?

さて一連の日野ハイキャブトラクタはダブルス牽引用のショートキャブで5mを切る短い全長が真骨頂。
それが76年にハイキャブ搭載位置が前方に移された時、既にハイキャブにする本来の意味を失っていた訳で、それでもハイキャブにする意味は「人気」からでしょうか?
今じゃコスト削減を理由に真っ先に廃止された事でしょう。

さて当日メディアに大型車の「死角」問題がクローズアップされていたのをよく覚えています。
いすゞなどは下方視界改善の為、クレーンキャリア並みのローマウントキャブのダンプも試作し、試験してました。
今じゃ逆に衝突安全面で問題でしょうが。
Route★ZERO 2013/02/06 01:22  編集 URL

元はとばす様
WGについての説明の中で、フェンダー形状の特徴もありましたが、長文になるために割愛していました。

日野の除雪車で6×6が登場するのはスーパードルフィン型になった時が初めてではないでしょうか。ボンネット型のZH110型時代をみても6×6車は見た事がありません。

ハイキャブ搭載位置が前方に移されるモデルチェンジで、ハイキャブスタイルが継承されていた理由は、市場の人気の高さからだと文書に記されています。
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